※ この記事は、月報全青司 平成29年10月号に寄稿したものです。
本当でしょうか?
でも様々な業界で起こっていることから、ある程度なら予想ができるかもしれませんね。
AIが囲碁世界一を破った衝撃
2016年3月、グーグルが開発した、「アルファ碁」が、囲碁世界チャンピオンのイ・セドル氏を破りました。
囲碁は高度に戦略的な思考が必要とされると言われ、数学的に可能な組み合わせから最も勝率が高い次の一手を打つだけでは、プロには勝てません(私は囲碁をやったことがないのでよく知りませんが(笑))。
戦略と経験が必要なのです(だそうです)。
そのため2015年以前は、AIはプロには勝てませんでした。
しかし、プロに初めて勝ってわずか半年で、世界トップに勝利してしまったのです。
グーグルのアルファ碁は、自分自身との対戦を数千万局行い、勝手に高度な経験を積んでしまったのです。
開発者ですら差し手のロジックはわからないそうです。
アルファ碁の開発はやめましたが、AI自体はその後もさらに進化しています。
人間は二度とAI棋士に勝てないでしょう。
身近なところにもAIが
iPhoneをお持ちなら使っているでしょう。
『Siri』。
便利ですよね。
と言うか遊び相手。「今日の天気は?」と聞くと、「今日の天気は晴れるでしょう」と、今日の天気を教えてくれます。
ここですごいのは、「天気」を「転機」とか、「電気」としていないこと。
つまり、音声データから意味を判別しているんですね。これもAIのパワー。
ちなみにSiriに「歌を歌って」と頼むとイヤイヤながらときどき歌ってくれます(笑)。
先日、保険の契約更新をネットでしました。
質問があったので、チャットで「〇〇とはどうゆう意味でしょうか?」と打つと、即答の返事。AIによる自動返答でした。
Youtube見たことありますよね。
動画に字幕ついていることありません?しかも翻訳されて。アレもAIによる自動です。
チョー便利なんですが、これって、テープ起こしの仕事と、翻訳の仕事が奪われているってことですよね。
薬の開発の実態
薬の開発はトライ&エラーの連続。
しかも無数にある医学論文を把握しなければいけない。
研究開発費と多くの時間がかかります。
しかし、今や薬の開発はAIがやっているって知っていました?
膨大な論文を自動で収集して、最も確率の高いトライ&エラーから薬を開発しています。
薬の開発の仕事もAIに奪われています。
AIで金融業界は激変
投資ファンドは、いまやAIの独壇場です。
世界のあらゆる情報を把握しつつ0.1秒単位の売買を繰り返す芸当など、とても人間にはまねできません。
借り手と貸し手を直接マッチングするようなサービスも出現してきています。
アマゾンや楽天の金融版です。
その人への融資がどれくらいのリスクがあるかは決算書や返済履歴からAIが即時に判断してくれます。
そのリスクにしたがって貸し手が融資する。
お金だと法的な規制がありますが、ネット上の通貨「ビットコイン」でならどうでしょう?
すぐできると思いませんか。
また、ネットを通じて投資を集める「クラウド・ファンディング」も一部で活発になってきています。
ネット上で会計帳簿サービスを提供する「Freee」は、クラウド・ファンディングで17億円集めたと言われています。
これらはFinTech(フィンテック)と呼ばれています。
あなたも聞いたことがあるでしょう。
近い将来、金融機関が不要になるかも?!
税理士業務が消えた国もある?
エストニアです。
東欧にある人口130万人の小さな国ですが、ネット化により確定申告が自動になりました。
マイナンバーが所得情報、口座情報、その他控除のために必要な情報と連動。
わずか数クリックで、自動で確定申告ができます。
会社も、専門家を通さずネットだけで設立可能です。
17分で設立できたと言う報告もあります。
弁護士業務をAIが?
アメリカの大手法律事務所では、AIによる契約書のチェックが行われています。
膨大な法律や判例から、問題になる条項がないかを判断しています。
日本の、ある大手法律事務所の所長は新人弁護士にこんなことを言っていました。
冷や汗ものですね・・・(汗)
登記はAIで可能か?
そりゃ、可能ですよ!
AIが登記を始めたらどうなるか?
そして、イレギュラーな登記は、ネットにある膨大な書き込みを自動で検索・データ化してしまう。
司法書士がよくブログで書いていますよね(苦笑)。
あれをデータ化してしまいます。
あなたも、休眠担保権の抹消など、イレギュラーな登記を受けたとき、ネットで調べたことがあるでしょう。
AIも調べますよ。
そうなると、生身の人間の司法書士は、知識ではとても太刀打ちできません。
マイナンバーが高度化すると?
銀行口座とマイナンバーの連携はあと1,2年の内に実施されるでしょう。
不動産情報や戸籍情報との連携も政府内では検討されています。
不動産情報と戸籍情報がマイナンバーで連携したらどうなるか?
法定相続分どおりの相続登記なら自動ですよね。
後は遺産分割や遺言の取り込みだけ。
これも実現すれば、相続登記は完全に自動でできることになります。
ブロックチェーンで登記が不要に?
データの変更を多くのコンピュータを通じて行う技術です。
これまでなら、ネットを通じた取引は中央のコンピュータに全てのデータが集中していました。
これだと、中央のコンピュータのデータを改ざんされると、真実の取引がわからなくなってしまうのです。
今の法務局の状況。
一方で、ブロックチェーンは中央のコンピュータを持たず無数のコンピュータで取引を記録するシステム。
これだと一箇所改ざんされても他のコンピュータとの整合が取れなくなるので、取引の真実性が確実になります。
ビットコインはこの技術を使っています。
これが不動産登記に応用されるとどうなるか?
売買契約からブロックチェーンの技術を用いて行うようになると、なんと登記が不要に。
だって、買主が真実の所有者だってブロックチェーンで証明できるから。
恐ろしいことに経産省でブロックチェーンの登記への応用が報告されています(月報司法書士2017年8月号)。
我々は生き残れないのか?
そんなことはありません!
大丈夫ですよ。まずAIを知りましょう。「彼を知り、己を知れば百選危うからず」です。
AIが得意なことは、「作業」的なことです。
音声や画像の認識、大量なデータからの判断、最適な行動の選択。
一方で、AIが苦手なことは、
・人が心地よいか不快かを認識すること
・新しい分野など事例が少ない分野
・「常識的な」判断をすること
・人を動かすこと
AIだと、相談を受けても、「その事例では、それは不可能です」って言っちゃう。
イヤですよね。
でも我々なら
他の方法を一緒に考えませんか?」
と言えるじゃないですか。これってAIは苦手なんです。
民事信託って新しい分野で事例が少ない。
これもAIは苦手。
私は民事信託で「こんな活動ができたらいいね」って色々動いて、最近盛り上がってきています。
こんなことはAIには絶対できません(最新情報は私のメルマガで報告しています)。
AIが発達すると、不動産業者や銀行から来る普通の登記は減少するでしょう。
作業的な登記はなくなると言うこと。
一方で、相談者の心の支えになったり、新しい分野を作り出すような仕事は残ります。
むしろ作業から解放され、人間的な仕事に集中できます。
AIで司法書士業界も大きく変わると思いますが、むしろ人間本来がするべき仕事ができる、良い方向に変わると私は信じています。
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