経営者向けの講演会は、事業承継の話しをしない方がいいかも

先日、ロータリークラブでお話をしてきました

ロータリークラブって、経営者の交流会みたいなクラブで、社会奉仕活動をよく行っています。
毎週お昼に定例会をやっていますよね。

ライオンズクラブも同じタイプのクラブですね。

先日、ロータリークラブで、「家族信託についてお話ししてください」って、依頼(?)を受けたんですね。
定例会の後半30分に講演会(「卓話」といいます)をして欲しいとのこと。

これまでも、ロータリークラブでは、30分のミニ講演会を何度もしていました。
その時も、家族信託の話をして欲しいと言われることが多くて、
事業承継における株式信託の話しをしてきました。

でも、反応は、いずれもイマイチ。(汗)

なぜ、ロータリーでは、株式信託の話しがイマイチなのか?

自分なりに予想すると・・・

・そもそも知らない概念なので、理解が難しい
・既に対策をしていて、それと違った概念は、自分がしている対策が否定されたようになるので、好ましい印象を持たない

という理由があるのかなと思いました。

人間の特性として、知らない方法はネガティブな感情を抱くとのこと。

スマホを始めて見たとき、どう思いました?
僕は、「こんなデカイ機械で、電話できるか!」って思いましたよ。(笑)

それから、クラウドファンディング
初めて聞いたとき「なんじゃそりゃ?そんなんで、みんな寄付するの?」って思いました。
今では、ときどきクラウドファンディングで、寄付しています。(笑)

人間の特性として、知らないものは否定的に入る。

現代社会においても、人間の頭の中身は原始時代の狩猟生活の状態のまま。

その場合、新しい方法(狩猟の方法や、狩猟場所)は、上手くいくかわからない。
上手くいかない場合は死に直結します。

ですから、人間の特性として、知らない方法・新しい方法には、ネガティブな感情を抱くのだそうです。

これをロータリーの経営者に当てはめると、
現状、贈与とかいろいろ検討した方法を検討中だったり、実行したりしている。
そこに、信託で株を譲渡するという新しい概念の話しなので
「なんじゃそりゃ?そんな方法ダメに決まってる」
となって、知らない方法なのでネガティブな感情が起きる。

だから、これまでロータリーで、自社株の信託の話しをしても、反応がイマイチ(むしろ悪い)だったのだと思います。

そういえば、ある社長に信託で株を譲渡する提案をして、
信託を知らない顧問の税理士さんに
「その方法は詐欺です」
って言われたこともあります。(泣)

このように、新しい概念ってとっつきにくくて、プラスの反応は難しいんですよね。

今回はどんな話しをしたか?

それで、今回は、自社株の話しはしないことに決めました。

それで、したのは、親の実家の話し。

ロータリーのメンバーも家に帰れば、一人の家庭人。
それで、自分の親や、配偶者の親に当てはめられるような話しをしたんですね。
そこに、親の認知症の話しを付け加えると、
身近なテーマだし、すんなり入れるかな、という作戦です。

事例はこんな感じ。

母が実家で一人暮らし。実家の名義は母。父は既に他界。
母は、身体も弱くなってきている。

施設に入ったら、実家は空家になるし、管理も大変なので、売却したいと考えている。

ところが、母が施設に入るときは、母は認知症などで判断力があやしい場合も考えられる。

つまり、その時は、売買契約できないかもしれません。

ではどうするか?

というお話し。

成年後見が必要かも

普段は、家族がお金の管理ができている。
キャッシュカードを持っていたりすれば、事実上、お金の管理は可能。

つまり、普段の生活では成年後見は不要。

それで家を売却する契約をするために成年後見をつけると・・・

その1回の契約のためにかなり大変なことが。

自分や家族が後見人になれば

お母さんについての「決算書」みたいなものを毎年作って裁判所に報告が必要になる。
貸借対照表(財産目録)と
損益計算書(年間収支)ね

しかも決算書を作るためには、毎日の入出金の出納帳をつけなければいけない。

経営者は、決算は大変なことは知っていますから、
「こりゃ大変だわ」
ってなります。

では、第三者が後見人になれば

後見人は第三者がなることができる。
そうすれば、毎日の出納帳の記録や、決算書の作成をその第三者がやってくれます。

でも、これってお金がかかりますよね。
税理士さんに決算を頼んでいる経営者は、そんなことを誰かに頼むと
お金がかかることがすぐ予想できます。

だって、自分の会社で税理士さんに頼んでいるから。

その金額の目安は年間36万。財産の価額によって変動しますが。
10年も経てば360万。

新潟くらいのところで自宅を売っても、500~1000万くらい。
税金(譲渡所得税)を引かれたら、10年も経てばほとんど手元に残りません。

実家を売って、施設費用に充てようという目的が、本末転倒に。

つまり、自分や家族が後見人になると、自分たちで決算(裁判所への報告)をするのはチョー大変。
人に決算を頼めばもちろんお金がかかる。そもそも売る意味が亡くなる。

こりゃ、家族がお金の管理ができてるんだったら、「後見はしたくないわ・・・」
ってなりますよね。

そこで家族信託という救世主が出現(笑)

家族信託は、新しい概念だけど、わかりやすく言うと
「贈与税のかからない、生前贈与のようなもの」

なんだかよくわからないけど、イメージできる。

この知っているものに例える、という手法はけっこう効果的で、イメージしやすくなる。

イメージできないと「知らない」となって、ネガティブな印象を与えてしまうし。

例えば、果物の「ザボン」の説明

ザボンとは、もっとも大きな柑橘類で、外皮は厚いがむきやすい。
果肉は珊瑚礁色に近く、ジューシーなものもあれば、乾いた感じなものもある。

イメージできます?

でも、
「ザボン」とは、大きいグレープフルーツみたいなもの

こっちならどうでしょう?
イメージできたと思います。食べてみたいな、と思ったかもしれません。

ここら辺の表現方法は
「アイデアのちから」 チップ・ハース、ダン・ハース (著)

に詳しく書いてあります。上記は、77ページから引用です。

専門家は、↑でいうなら1つ目の説明をしがち。

多少正しさを犠牲にしても、イメージできるものに置き換えないと伝わらない。
伝わらなければ、説明する意味がありません。

マネジメントの大家ピーター・ドラッカーも
「専門家は専門用語を使いがちである。(中略)ところが、彼らは理解してもらってこそ初めて有効な存在となる。」

といっています。
マネジメント 「エッセンシャル版」  ピーター・F・ドラッカー (著)
125ページから引用

我々は、正確にものを伝えても、理解してもらわないとそもそも有効な存在になり得ませんよね。
60点でもいいので理解してもらうことが重要。
でも正確さを気にしすぎて何も理解してもらえなかったら、0点です。
まずは60点を目指す。

話しを元に戻します。

信託は、贈与税がかからない生前贈与のようなもの。
贈与税が、非課税で名義を子どもに移せる。
(この表現は60点かもしれませんが、何も伝わらないよりマシ。)

子どもに名義が移るから、子どもが実家の売却手続きができる。
つまり、後見不要です。

経営者は税金に敏感

そして信託と税金の説明

不動産取得税
贈与で名義を移せば、不動産取得税が課税 5~10万くらいかかるかも
でも、家族信託で名義を移せば、不動産取得税は非課税。

登録免許税
実家を贈与で名義を移せば、10万~20万くらい
家族信託なら、2~4万くらい

さらにとどめは(笑)、売ったときの譲渡所得税
親の実家で、同居していない場合、
贈与を受けてから子どもが売るケース。
500万で売れたら、譲渡所得税が100万くらいの可能性。

でも、家族信託なら、3000万の特別控除が受けられる可能性が高いので、
譲渡所得税はゼロ

※贈与の場合でも、購入時の契約書などで、購入時の金額がわかれば、譲渡所得税はかからない可能性が高いです。

ただ、デメリットは、
親の判断力があるうちに設定しなければいけない。
(ヤバ、急がなければ)

まとめると、
家族信託をしておけば、面倒な後見が不要
贈与と比べても税金的なメリットが大きい

ということで、
・自分の身近な話しで、
・少し気にはなっていたけど、あまり検討していなかった部分
・自分の知っている情報(決算書づくりは大変)
・税金的なメリット

こりゃいい!
という印象が与えられたようです。

定例会に参加された人から、
「ここ最近の卓話で、一番いい話を聞いた。」
「もっと深掘りして教えて欲しい」
「自分の妻の親のことで相談したい」

とけっこう好評だったようです。(嬉)

ということで、経営者だからといって、経営者向けの話しは、僕にはムリ。
でもちょっと視点を変えて経営者も一家族だということで、普通の認知症の話しをしたらけっこうよろこんでもらえました。

みなさんも、経営者向けの講演会をするときは、参考にしてもらえたら幸いです。

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