家族信託 おすすめできる事例、おすすめできない事例

私はメルマガやブログを6年くらい続けていているのですが、
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元々メルマガやブログは、家族信託(民事信託)の普及を目的としていました。

使い方や、法的な論点などを紹介していたんですが、
ここ2,3年はあまり信託のことを書いていないんですね。

もしかしたら、人から見たら、僕は家族信託の本も出しているし
「信託推し」
かもしれないと思われているかも。

出している本は、これね
「増補版 いちばんわかりやすい家族信託のはなし」

専門書にしては珍しく、
発行部数、1万部突破
#みなさんのおかげです

もう一つはこれね
「事例でわかる 経営者の認知症対策」

#こっちも何度か重版
ありがとうございます!

でもね、
家族信託の案件をそれなりにやっていると、
信託に合う事案、あまり合わない事案が自分なりに見えてきた気がするんですね。

それで、家族信託の限界も見えてきたと思っています。

それでは事案毎に考えていきますね。

親が認知症になそう。金銭管理は?

親が認知症になると、介護費用や施設費、入院費の支払いが大変になりそう。
後見は使いたくないし・・・
だから、まだ判断力のあるうちに対策しておきたい
って事案

これ、お金を家族信託して・・・って方法がありますよね。

一概には言えませんが、私だったら
「定期を解約して、キャッシュカードを子どもが持つ」
っていうのが、一番簡単と思います。
「定期を解約して、キャッシュカードを子どもが持つ」
(他の子どもの理解が得られる場合ね)

定期を解約する理由は、
定期の解約は本人確認をされて大変だから

信託どころか、任意後見も不要。
事務所の売上はゼロ(笑)

でもね、それでいいと思うんですよ。

実際、親のキャッシュカードを子どもが持って対応がほとんどですから。

600万人の認知症患者で、後見を使っている人は23万人
残りの577万人は、キャッシュカードを持つなどで対応している、ということになります。
つまり、ほとんどそうしている。

だから、こちらからするアドバイスも、同じ。

もちろん、家族間で争いがある場合や、
公正明大にしたい、という場合は、別。
どちら二つも、法定後見か任意後見がベター。

それから、親のお金で、子どもの学費を出したい場合とかもね。
これは信託がいいかもね。

でも、通常のケースだったら、
「定期を解約して、キャッシュカードを子どもが持つ」
が良いと思うんですよ。(私の親ならそうする)

だから、僕なら、通常信託は使わないですね。

受益者連続

信託の大きな特徴に受益者連続があります。

でもね、これ、ほとんど需要がない(泣)

せいぜい
父 ⇒ 母 ⇒ 子
かな。

でも、これを実現させるために、わざわざ信託をすることはあまりないかも。
それだったら、
父と母の2人の遺言を進めています。

父の遺言は、
自分が亡くなったら母(妻)、母(妻)が先に亡くなっていたら子

母の遺言も同様
自分が亡くなったら父(夫)、父(夫)が先に亡くなっていたら子

これで事実上、父 ⇒ 母 ⇒ 子が実現できますからね。

遺言は書き直しが容易?

そもそも、夫婦の思いが同じなら、その趣旨を外すような遺言の書き直しは中々できないですよね。

それに、お客様と信頼関係が築けていれば、遺言を書き直すとき、連絡が来るはず。
その時は、専門家として、アドバイもできると思います。

障がいのある子

障がいのある子がいる
親亡き後のために、
お金や不動産を、別の子どもに信託して・・・・

って事案ね。

これって、その信託の受託者になる子(障がいのある子のきょうだい)の負担が大きいと思うんですよね。

例えば、子どもが20代の時に信託を組むとするじゃないですか。
受託者となる子も20代として、
その時はまだ結婚もしていないでしょう。

しかし、その後結婚して新しい家庭ができて、
仕事も責任が重くなって、、、、
となってくると、親が亡くなったとき、受託者となる子は50代とすると、
信託を組んだときと、状況は全く変わっていますよね。

障がいのある子のために財産管理をするのがとても負担になる可能性があります。

そんな将来の負担を、まだ判断があまりできない若いときに負わせるのは、
どうか、って思います。

ですから、障がいのある子の親亡き後は、僕としての典型パターンは

親が見れるときまで、障がいのある子の面倒を見る
親が面倒を見れなくなったり、亡くなったら、第三者による法定後見(または任意後見)
きょうだいの別の子には負担は負わせない。

これが僕の典型パターンです。

そうすると、ここでも信託ではないんですよね。

信託がハマる案件は?

ありますよ!

親が施設に入ったら、自宅を売却をしたい。

これです!

親が施設に入るときは、多分認知症。
管理も大変だし、施設費の捻出もあるから、空家になった自宅は売却したい。
これは、信託がハマりますね。

売却のためだけに、後見をつけるのは負担が大きい。
でも、子どもに信託しておけば、スムーズに売却できます。

そして、売却したお金は、その後も受託者の子が管理して、親のために使えますから。

後見不要

しかも、信託では、
設定時に不動産取得税も非課税ですし、
売却したときの譲渡所得税の3000万円の特別控除も使えます。

税金的な優遇もありますよね。

このように、認知症になっても売却したい自宅や財産があるときは、信託ですね。

M&Aとかでも使えます。
認知症になっても株を売れるようにしたいとか。

アパートの所有者 認知症や承継に備えたい。

これ、難しいです。
一概には言えません。

アパートを所有している人が認知症になると、
管理が難しくなりますよね。

賃料の管理や、物件の修繕、入居者とのトラブルの対応、などなど。

信託しておくと、スムーズかもしれませんね。

でも信託しなくてもなんとかなるケースもあります。

まずは、任意後見で対応するという方法も。
これなら、何の問題もありませんよね。

それから、自分が持っている管理会社に管理を委託している場合。
これも、信託が必要でないこともあります。
賃料は管理会社にいったん入る。
つまりお金のロックはとりあえず、防げます。
認知症が心配の親の口座に賃料が入るわけではないですからね。

修繕費も賃料の一部を積み立ていていれば、なんとかなる。

契約の更新や修繕、トラブル対応も、一応は管理会社が前面に出てやるでしょう。
しいて言えば、入居者などに訴訟をする場合は、ちょっと問題になるかも。

ですからアパート管理は、ケースによって、信託を使うケース、使わないケースがあり得ます。

状況によっては、任意後見+遺言+信託とかも良くあります。

相談されている方がどのようなことが不安なのか、どのようなことを実現したいのかをよく聞き取って、
最適な方法を検討していくしかないかなって思います。

このように、信託って、ハマるときはハマりますが、
それ以外では、あまりおすすめしないことが多い。

けっこう使い方が限定的ですよね。

その割には、法的な論点がいろいろあり、税金的にも難しい面があるので、
使えるようになるには、けっこうハードルが高いです。
しかも使える範囲は限定的。

さらにもう一つ。
信託は、最初から最後までほとんど本職が対応しない進めにくい。
本職の時間がとられるので、事務所経営的にもイマイチ。(笑)

そうすると、信託って、なんだか割に合わないなって思えるかもしれませんね。

信託については、こんな印象を持っています。

つまり万能ではない。限定的。ハマるときはハマる(自宅の売却など)

ということで、最近は信託と言うより、高齢社会の財産管理、全般について、いろいろ考えるようになってきました。
おひとりさまの老後についても、いろいろサポートすべきことはたくさんありますし。

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

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