司法書士に将来性はあるか?あなたは、この事実を知っていますか?

合格率3%前後の超難関の試験をくぐり抜けて、苦労して取得した司法書士の資格。
一方で、日頃、何となく感じている不安。

あなたは、この現実を知っていましたか?
司法書士に将来性はあるのか?

登記件数の現実と将来

司法書士が集まると、このような話しを良く聞きます。

ベテラン 司法書士
登記業務、昔と比べると少なくなりました。
新米 司法書士
登記業務の依頼がなかなか来ません。

それもそのはず、日本全体の登記件数は10年で、不動産登記は33%、商業登記(会社)は27%減少しています。たった10年でこれだけ減っています。

出典:法務省 登記統計
 (ネットで「登記件数 推移」のキーワードですぐ見つけられます)

さらに、最近はインターネットを調べれば、登記のやり方やひな形はいくらでも出てきます。
司法書士のあなたも、ちょっと難しい登記についてネットで調べていませんか?
(私はけっこうネットで調べています)

法務局に行けば、サービスの向上の一環として、登記の申請方法をていねいに教えてくれます。

登記件数自体が減ったばかりでなく、本人申請の割合も増えています

司法書士は、昔は地方では長者番付に載った人がいたくらいです。しかし今は司法書士が集まれば、「登記が少なくなった」とか「仕事があまりない」とか、暗い話しばかりです。

日本の人口が半分以下になる

しかも追い打ちをかけるのが「人口減少」です。人口が減れば、不動産の動きも鈍くなり、会社も少なくなる。当然、登記件数も減ることになります。

かわさき
恐るべきデータを紹介します。
今後、人口は急激に減少します。

国土交通省は、人口予測に基づいてインフラ(道路など)整備を進めていますが、その国土交通省は、2100年には人口は現在の1/2~1/3まで減少すると予測しています。

出典:国土交通省 人口の動向等について
 (ネットで「国土交通省 人口推移」のキーワードですぐ見つけられます)

2007年(平成19年)に人口の減少が始まり、今はまだ人口減少が始まったばかりです。それなのに、10年で3割以上登記件数は減っています。

かわさき
いま、東京はちょっとした不動産バブルですが、それもいつまで続くかわかりません。

東京オリンピックも終わり、それと同時に東京都でも人口減少が始まります。それ以降の登記件数はどのように推移していくのでしょうか?

マイナンバーで相続が自動になる

月報司法書士 平成28年8月号のP15以降に、マイナンバーと戸籍情報の連携を検討している記事が掲載されています。
寄稿者は法務省民事局の担当官。
つまりマイナンバーと戸籍情報の連携は夢物語ではありません。

もしこれが実現したら、法定相続情報証明制度のさわぎではありません。全く専門家を通さなくても、自動的に法定相続人が確定することが可能になります。

さらに、マイナンバーと不動産情報が連携したら?少なくとも住所や氏名の名義変更登記くらいは自動になるでしょう。

法定どおりの相続登記も自動化は可能なはずです。

かわさき
ネットとマイナンバーで税理士業務が消滅した国もあります。

エストニアです。

ヨーロッパの小国ですが、マイナンバーと所得情報、口座情報がリンクして確定申告がネットで自動でできるようになりました。
そのため、税理士業務が消滅しました。会社設立もネットを通じて5~10分でできてしまいます。

不動産の契約や登記も、電子署名でペーパーレス(ネット上)で完了してしまいます。

AIで登記が自動に? アメリカでは弁護士業務がAI化

かわさき
さらに司法書士業界を脅かすのは人工知能(AI)です。
通達や先例のデータベースとAIがリンクしたら、我々司法書士の専門性は必要なくなるでしょう。

現実にアメリカでは判例情報とAIがリンクして、「このようなケースではこのような主張をしてください」とコンピューターが判断してくれます。弁護士は不要です。

AIはすでに社会ではいろいろなところで活躍しています。

新薬の開発は、AIが行っています。知っていましたか?
数千の事象を検討するには人間ではなく、AIの方が優れているからです。

Googleの開発した自動運転車は人間より事故が少ないと、話題になりました。

金融投資の主役はAIです。秒単位の投資を繰り返し、人間はAIにはかないません。
「素人が手を出せる分野ではない」というより、「人間が手を出せる分野ではない」というべきでしょう。

中国では、AIが融資の審査をしています。
審査にかかる時間は、1秒!!
中国版アマゾンの「アリババ」の金融部門の「アント・フィナンシャル」
 時価総額は、三菱UFJグループの2倍以上)

最近のAIの発展はすさまじい。AIが登記をするのが日常になるのは近い将来かもしれません。

それでも、銀行の決済は司法書士が今後も担うだろうと、あなたは思うかもしれません。
しかし、金融機関の融資の審査の仕事は近い将来AIに取って代わられるだろうという予測もあります。
(出典:「人工知能が金融を支配する日」櫻井豊 著 東洋経済新報社

それもそのはず。
企業への融資について、決算書で、融資の判断をするなら人間は不要ですよね。
住宅ローンについて、収入と職業で、融資の判断をするなら人間は不要ですよね。

AIのほうが感情や人的つながり(「いつもお世話になっているから、今回は特別ですよ」ってやつね)に惑わされず、データだけを正確に読んで判断できますので。

AIが融資をするなら、登記もAIが行った方が、便利で、早く・安く・正確にできると思いませんか?

もし、もしですよ。
どこかの銀行が、試験的にAIに融資の審査を始めたら?
そして、決済から登記までAIにさせてみたら?
その方法が便利で、早く、安く、正確にできることがわかったら?

その後は、雪崩を打つように決済業務はAIに取って代わられるでしょう。

我々は生き残れるのか?

このように、
・登記の減少
・司法書士の関与率の低下
・人口の減少
・マイナンバー
・AIの発達

など、司法書士業界を脅かす兆しはたくさん見られます。

さらに、個人事務所を脅かす現象としては、
登記業務は一部の大規模事務所に集中化が進んでいます。
批判を受けることを恐れずに言えば、登記はだれがやっても結果が同じだからです。
だれがやっても同じなら、早く、安く、正確にやることが求められます。

これが、大規模事務所への集中化が進む理由です。

あなたは、このような状況で、10年後、いや5年後に生き残ることができますか?

生き残るためには何をしたらいいのか?

それは、この次の記事で取り上げます。

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司法書士の将来性 既存秩序への挑戦
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コメント

  1. […] 前回の記事では、司法書士業界を取り巻く事実を紹介しました。 […]

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