民事信託の業務に取り組む際に、必ず乗り越えなければならない壁。
最初の1件目を、どう受任し、こなすかです。
民事信託の業務経験がないと、最初の案件の受任はとても不安なものです。
- 信託契約書はどう作ったらいいのか?
- 設計に不備があったらどうしよう
- 費用はいくらもらったらいいのか?
だれでも最初はあるものです。
私も最初の1件目がありました。鮮明に記憶に残っています。
この記事は、私が最初の案件をどう受任して、どう処理したかについて書きました。
これから民事信託に取り組みたい人には、参考になると思います。
私の最初の1件目 生前贈与の相談
その相談は、県外にある不動産を、相談者の親戚に名義を渡したい(生前贈与)というものでした。
県外の不動産を相続で取得しましたが、自分では管理が大変で、不動産自体も不要なので、不動産のすぐ近くに住むその親戚に名義を渡したいとのことでした。
つまり最初は生前贈与の相談でした。
生前贈与の登記は簡単です。
印鑑証明書や権利証など、必要な書類を集めて、作成した書類に印鑑をもらうだけです。
しかし、この登記をするとどうなるか?
おそらく、数ヶ月後に数十万円の不動産取得税の納税通知が、名義をもらった親戚に届くでしょう。
次の年に、税務署から200万円近い贈与税が、その親戚に課税されたでしょう。
相談された方は、ただ、自分名義の不動産を、親戚に管理・処分してもらうために、善意の気持ちで不動産を生前贈与するつもりでした。
ぜひその方法でお願いします!
このようなやりとりで、民事信託の最初の案件を受任しました。
いよいよ、最初の案件を受任!
私も自信がなかったのであまり強くは進めなかったのですが、相談された方からは「そんないい方法があるのであれば、ぜひお願いします」と言われました。
初めての民事信託の案件でしたが、そんなに不安はありませんでした。
なぜか?
実は、民事信託の研修会の講師から、「最初の何件は不安だろうから、一緒に受任するよ」と言われていたからです。
共同受任です。
その講師の方とは、民事信託の先駆者であり、日本の第一人者である、河合保弘先生です。
河合先生は当時も相当な案件を行っていました。
そのような方から、一緒に業務を受けていただけると言われていたので、あまり不安はありませんでした。
相談者から民事信託をお願いされたときは「来た!」と思いました。
様々なアドバイスを受ける
河合先生からは様々なアドバイスをいただきました。
・信託契約書の書き方
・報酬をいくらに設定したらいいか
などなど。
やはり一番の不安は、信託契約書の書き方です。
書籍やセミナーの資料を参考に私が起案し、河合先生からチェックを受けました。いろいろご指摘をいただき、完成させましたので、とても安心できました。
お客様からも「迷惑をかけずに、名義を渡せたので良かったです」と、とても喜んでいただきました。
このようにして、私の初めての案件は、無事完了しました。
最初は、共同受任が安心
最初の数件は、講師の先生から共同受任をしていただきました。
実際の案件を進める上で、様々なアドバイス、注意点、避けるべき落とし穴を教えていただきました。
また、信託契約書の読み合わせを一緒にしていただくと、見落としていたリスクや、もっといい方法など、とても多くのことに気付くことがあります。
そして何もよりも、自信を持つことができます。
最初は共同受任をしていただきましたが、今では、逆に様々な人から「一緒に案件を受けてくれませんか」と言われています。
やはり皆さん、最初の案件は不安なのでしょう。
あなたも最初の民事信託の案件が不安なら、近くにいる経験者の方と一緒に受任してはいかがでしょうか?
もちろん報酬は分けなければいけませんが、安心できますし、実務を通じた経験や知識は一生のものになります。
最近は数十万円もするセミナーがありますが、共同受任の方がより賢い投資だと思います。
やはり、実務の経験が一番いい勉強になります。
民事信託になりそうな相談を受けたとき、是非ともお声がけください。
できる限り対応いたしますよ。
コメント