信託された不動産の売買

とある司法書士会から、久々に信託の研修の依頼を受けました。

「信託された不動産の売買の登記を受けた」
というテーマで、様々な問題点を検討する内容です。

資料も完成して
私としては、「これは面白いテーマでできたな」と思ったんですね。

そうしたら、担当者から一言。

「想定していたレベルより、2段階くらい高いです・・・」

あら?
簡単な内容で作ったつもりでしたが、

いつも信託とか、財産管理の案件ばかり扱っているので、
世間ずれしてしまったみたいです。

#でも、実務では、絶対向き合わなければいけないポイントばかりなんだよね。

今回は、その研修会の内容を少しだけ紹介しますね。

信託された不動産の売買

よくあるタイプの信託の一つに
「施設に入ったら自宅を売却したい」
という希望を実現するものがあります。

自分が、介護が必要になり、施設に入所

自宅が空家になるので、売ってお金に換えて、施設の費用に充てたい

でも、あれ?
施設に入るときって・・・・・

そう。
認知症で判断力がなくなっていることがあるんですね。

そうすると、自宅売却の契約ができなくなってしまいます。
もちろん、登記の依頼も。

司法書士としては、判断力のない人の依頼は受けられません。

#クビが飛びます (笑)

だから、判断力がなくなってもスムーズに売却できるように
子供などに自宅を信託しよう
という考えなんですね。

信託しておけば、売買契約や登記申請は、
受託者である子供が全て書類にサインしますからね。

#本人確認や意思確認も、受託者である子供に対して行えばOK

なぜ成年後見ではNGなのか?

いや、OKですよ。

成年後見では、自宅の売却は家裁の許可が必要ですが、
最近は、家裁もOKを出してくれやすい。

でも、自宅の売却だけで、成年後見人をつけるのは重い。

そう、重い。

サポートしてくれる家族がいて、銀行のキャッシュカードも代理人カードなどがあれば、
家族が、財産管理ができます。

つまり成年後見は不要な状態。

それで、自宅の売却の1回のためだけに
成年後見をつけると

家族が選ばれると
・毎年、裁判所に財産目録や収支の報告をしなければならない
 ⇒ これが、一般の人にはチョー大変

#だって自分の家計簿、つけています?
#普通は三日坊主

つまり親の家計簿を、一生つけなければいけない。

第三者が選ばれると
・第三者の後見人が全ての財産を管理
・報酬が毎年発生し、これが亡くなるまで続く
 ⇒ 預貯金が1000万ある人で、年36万が目安です
・後見人と相性があわないと、いろいろ大変
 ⇒ 後見人を交代することは事実上、できません

つまり、たった1回の自宅の売却のために
・家計簿をつけ続け、裁判所に毎年報告が要求されるか
・第三者の後見人に費用が毎年発生するか

どちらかのことが起こってしまうんですよね。

財産管理は、何らかの方法で家族ができているのであれば、
自宅の売却ためだけで、
後見制度は使わないで済ませたいですよね。

後見を使うのは20人に1人

2020年末で、後見制度の利用者は23万人
一方で認知症の人は、500万人~1000万人いると言われています。

そうすると、利用率は2.3~4.6%

逆に、認知症になっても、
95.4~97.7%の人は、後見制度を利用していないと言えます。

つまり、後見を使っている人は、多くみても20人に1人

なぜか?

理由は、もちろん正確にはわからないですが、
肌感覚では、
家族が財産管理ができていて、後見制度を利用する必要性がない、
という人が多いのではないでしょうか?

みなさんはどう思います?

売買の依頼を受けたら、絶対確認すべきポイント

話しを元に戻しますね。

ということで、自宅を将来売却できるように信託することは、ケースとしては多いです。

その信託された自宅の売買の登記の依頼を受けたらどうするか?

絶対確認すべきポイントは、受託者に売却の権限がしっかりあるか?

信託目録には、
・目的
・信託財産の管理方法
が記載されていますので、そこをしっかり確認してみてください。

・売買してもOKとか
・処分してもOKとか

まずは、これが絶対必要。
売買の権限がなければ、受託者は自宅を売買できませんから。

単なる維持管理のために信託したのだったら、売却はNG

それから、売買する際の条件があるかもしれません。
・受益者代理人の同意とか
・施設に入ったらとか

この場合は、この条件をしっかり満たしましょう。

後は、申請書の書き方や原因証明の書き方は、書籍を見れば問題なくできると思います。

おすすめは

「信託登記の実務」 
https://amzn.to/3GOdb0N

こちらもおすすめですが、在庫がないみたい
「信託に関する登記」
https://amzn.to/3mJNsOJ

書籍だと、申請書や原因証明の書き方は書いてありますが、
登記事項証明のどこを見るのがポイントかってあまり書いていないですからね。

でも、そういうところがポイントだったりしますよね。

別な見方をすれば、
自宅売却の信託の「設定」の依頼を受けたときの大きなポイントは、

「目的や、信託財産の管理方法に、自宅の処分権限をしっかり明記すること」

って言えますよね。

それでは、今日も良い1日を!

バズ・ダラ会は、みな様の質問にお答えします

毎月第3月曜にお送りしているバズ・ダラ会

みなさんから寄せられた質問にお答えします!

質問を募集中!

質問は、このメールに返信すれば、こちらに届きます。
他のメルマガ読者には届きませんので、ご安心を。

次回は
11/15(月) 19時~

※時間もちょっと変更

費用は無料です!

それから、「バズ・ダラ会は有料になったの?」という質問を受けました。

バズ・ダラ会は、基本は無料。

毎月第3月曜 19時~20時 (時間がまた変更になりました)

ただ、3,6,9,12月は有料

このように、3で割り切れる月は有料です。それ以外は無料。

無料版は、1度だけ申込が必要です。
無料版の申し込みはこちら。
https://48auto.biz/minji-shintaku/registp.php?pid=18

実務の質問を、協会メンバーがお答えします!

遺言や後見、信託などの実務で悩まれたとき、どうしてます?

その質問に協会メンバーがお答えします!

協会メンバーは、遺言や後見、信託などの実務のトップランナーがそろっています!

質問と回答はチャットワークを通じて行います。
費用は月1万6500円(税込み)
期間は3ヶ月(更新あり)

協会メンバーがあなたの実務の心強い味方になりますよ。

今回の募集は先着3名様のみ。

お申し込みは、こちら。
https://48auto.biz/minji-shintaku/registp/entryform29.htm

信託契約書のチェック

協会メンバーが、あなたが作成した信託契約書をレビューしますよ。
Zoomを通じてミーティングを行いながら、
・スキームについての検討
・信託契約書のチェック
・信託登記の作成の仕方
などをアドバイスします。

信託の案件を初めて受任する人にはぜひオススメ。
案外、気づいていない大きな落とし穴があるものですよ。

費用は15万円(税別)

お問合せはこちらから
https://minjishintaku-kantokunin.org/contact/

メルマガで配信中 メールアドレスを登録すれば、民事信託や相続、後見などの実務の最新情報を無料で受信できます。
入力データは、シマンテック社のSSLの技術により、暗号化されて送信されますので、ご安心ください。

民事信託 民事信託の実務
シェアする
民事信託 実務家のあなたを応援します!

コメント

タイトルとURLをコピーしました