これまでの方法では?
まずは、認知症なったらどうなるか?
認知症になったときの代表的な対応策は成年後見です。
しかし、、、
成年後見は、認知症になった人が自分では
・施設の入所契約や病院の入院手続きができない
・施設や病院の支払ができない
など、事務手続きができなくなるので、成年後見人という「保護者」が代わりに手続きをする制度です。
成年後見人の仕事を一言で言うと「代わりにハンコを押す」ですね。
認知症になった人が、自分で書類にハンコを押せないので、成年後見人が代わりにハンコを押します。
家庭裁判所に申立をして、成年後見人をつけてもらいます。
山田太郎さんが認知症になると困ることは主に3つあります。
・家族のためにお金を使いづらい
・成年後見人が専門職の場合、費用が発生
1.現状維持のみ
お父さんが認知症になっても、成年後見人がつけば、入居の契約は成年後見人ができます。
賃料の請求もお金の引き出しも、成年後見人ができます。
しかし、アパートが古くなっても大規模な修繕は、成年後見人ではなかなかできません。
本人(お父さん)のお金を何百万円も使って修繕しても、もしお客さんがそれでも入らなかったらどうするか?
成年後見人では責任が取れませんので、成年後見人の判断では大規模な修繕は難しい。
ましてや、お父さんにお金がない場合、銀行からお金を借りて修繕することなど不可能です。
成年後見人は現状維持が基本ですので、空室が目立つようになっても、大規模修繕など、現状維持を超えるような手続きは難しいです。
2.家族のためにお金を使いづらい
お父さんが元気なら、賃料の収入を、妻のためや、子どもや孫のために使うことができるでしょう。
しかし、お父さんが認知症になり成年後見人がつくと、お父さんのお金はお父さんのために使うことが基本です。
妻の生活のために使うことは問題ないと思いますが、孫の教育資金や子どもが家を建てるからその援助などではお金を使うのは難しいです。
成年後見人は基本的には、認知症になった本人(事例ではお父さん)のためにしかお金が使えなくなります。
3.成年後見人が専門職の場合、費用が発生
成年後見人は、家族がなるといいのですが、最近の傾向では弁護士や司法書士など専門職がなることが多いです。その割合は7割くらいです。
家族を成年後見人にしたくて裁判所に申立をしても、裁判所は専門職を専任してしまいます。
財産の一切を管理することになるので、専門職の方が好まれるようです。
専門職が成年後見人になると費用が発生します。
この費用は裁判所が決めるのですが、平均で月3万円くらいです。
1年で36万円。
10年で360万円にもなります。
成年後見人は一生続くので、この費用が一生発生します。
しかも、専門職は法律にきっちり基づいてしますので、融通が利きません。
成年後見人にが弁護士がついたら、通常認められるはずの家族の生活費も渡されなくなった、と相談を受けることもあります。
ですから、「成年後見人にはしたくない」と言って、民事信託を相談される人もいます。
民事信託をしておけば認知症になっても大丈夫
ところが、民事信託をしておけばお父さんに認知症になっても大丈夫です。
お父さんが認知症になると困ることは
・家族のためにお金を使いづらい
・成年後見人が専門職の場合、費用が発生
の3つでした
現状維持のみに対しては、民事信託の中で「修繕工事もできる」としておきます。そして、そのためのお金も一緒に信託しておけば、大規模な修繕工事も問題なくできます。
お金がなくても大丈夫です。
最近は、地方銀行でも、民事信託をしている物件の融資をするところが出始めています。
ですから、信託をした後、将来お金が必要になっても、融資を受けて工事をすることが可能です。
家族のためにお金を使いづらいに対しても、民事信託なら大丈夫です。
賃料や信託したお金は、「家族のために使ってもいい」と書いておくだけです。
そうすれば、家族のための生活費や、教育資金さえも、賃料や信託したお金から支払うことができます。
成年後見人が専門職の場合、費用が発生に対しても、民事信託なら心配ありません。
民事信託は、信用している人に財産を預けて管理してもらう制度です。
管理する人(受託者)は、子どもがなることが多いです。
ですから、費用のことを考えなくても、アパートの管理をしてくれるでしょう。
最終的には、その子に財産が行くので、子どもも安心できます。
コメント