平成30年3月の時点で、おかげさまで、4刷りまでいきました。
どうもありがとうございます!
相続・事業承継・認知症対策のための いちばんわかりやすい家族信託のはなし
川嵜 一夫 (著), 蟹江 乾道(税務監修)
日本法令
本書は、これまで私が扱わさせていただいた家族信託の事例を紹介して、家族信託の使い方を知ってもらう事を目的に書きました。
60代、70代の一般の方で、認知症対策や相続対策を考えたい方を想定して書きましたので、専門用語が少なくわかりやすく書いたつもりです。
ですから、専門家の方でも以下のような人にはオススメです。
・税理士で、相続業務や、財産管理業務に取り組む人
・弁護士、司法書士、行政書士で成年後見や遺言の限界を感じており、提案の幅を広げたい人
・保険を扱うFPで、顧客への提案の幅を広げたり、訪問するきっかけをつかみたい人
・不動産業者で、収益不動産を持つ顧客への提案の幅を広げたい人
なぜ家族信託を知る必要があるのか
現代は、インターネットで何でも検索できるようになっており、成年後見や遺言の方法はいくらでも検索できます。
つまり、既存の知識に対する価値が下がったと言えます。
相続関係を扱う専門家で、遺言の事がわからない人はいません。
つまり、「遺言を作りましょう」という提案では、価値はそんなに高くないし、差別化もできません。
ところが家族信託なら、扱える専門家は少数派です。
しかも、後見のように、財産の運用は硬直的(家族のために財産を使うことが難しく、財産の処分に制限がある)でないですし、遺言とは違って、2代先、3代先でも財産権を持つ人を指定できます。
ですから、
・自分が認知症になっても、
家族のために財産を使いたい人
収益不動産の修繕ができるようにしたい人
不動産の売却をできるようにしておきたい人
・子供がいない夫婦
・再婚して前の配偶者と現在の配偶者の双方に子供がいる人
・障がいのある子がいる親
などの人達にとっては、家族信託は非常に有効な方法です。
しかし、家族信託の提案ができる専門家が非常に少なく、ネットを見ても情報はあまりありませんので、このような人達に家族信託の提案ができると、差別化にもつながりますし、価値が高い提案になるでしょう。
事実、私は、家族信託の相談で、新潟から頻繁に東京など首都圏に行っていますし、北は北海道から南は九州まで行っています。今度は、沖縄の案件の相談を受けることになりました。
もし、私が遺言や成年後見しか使えない司法書士なら、このように全国からお声がけをいただく事はなかったでしょう。
ですから、相続関係を扱う専門家にとって、家族信託はとても強力な武器になるのです。
本書を読むことのメリット
主に3つあります。
・一般の人向けに書いたので、クライアント向けにわかりやすく説明するための参考になる
・よくある相談事例を載せているので、似たような事例を受けたとき、提案の参考になる
・よく受ける質問のQ&Aを載せているので、クライアントから質問されても回答の参考になる
わかりやすい説明
専門用語を極力使わずに、わかりやすい説明に心がけました。
私が今まで、様々な工夫をして「どうしたらわかってもらえるか」と考えながら家族信託の説明をしてきた経験をつぎ込んでいます。
ですから、あなたがクライアントに家族信託の説明をするとき参考になる部分があるはずです。
信託を一言で言うと、このような関係です。
【私】が委託者、【あなた】が受託者、【あの人】が受益者
ここまで、端的に信託を説明した言葉は、あまりないでしょう。
通常はこのような説明になるでしょう。
出典:信託協会HP
確かに正確に述べていると思いますが、知識がない人から理解してもらうには難しいと思います。
わかりやすく説明するには、ある程度の技術と、真に腹落ちしている知識も必要と思います。
また、私の本ではこのような説明もしています。
管理・処分する権利である「ハンコの権限」(受託者の業務)と、収益をもらう権利である「お金の権利」(受益者の権利)を分けて渡せる。
確かに法律上の説明では、正確ではないですが、
「ハンコの権限」と「お金の権利」と端的に表現すれば、一般の人にはわかってもらいやすいと思います。
よくある相談事例
事例の紹介は、よくある相談を受けたと仮定して書いています。
ですから頭に入ってきやすいでしょう。
例えば、
私はアパートを所有しています。その家賃収入で私たち夫婦は生活しています。 私たち夫婦もそれなりの年齢になってきたので、息子の弘にアパート経営を任せようと思います。弘には、私に万一のことがあっても妻の和子が生活に困らないように頼んでおこうと思います。 最終的には弘にアパートを継がせるつもりです。 どのようにしたら良いでしょうか? |
これに対して、家族信託を用いるとどのような解決方法があるかを説明しています。
よくある事例を取り上げていますので、あなたも相談を受けたときに、似ている事例があるかもしれません。
そして、本書を用いれば、説明方法も参考にしていただけるでしょう。
クライアントからの質問と回答
私が今までセミナーやクライアントと接したときに、よく受けたQ&Aを載せています。
今でも覚えていますが、
と、初めてのセミナーで質問をうけたときは、金縛りに遭いました。
でも、一緒にセミナーをやってもらった、民事信託の第一人者である河合保弘先生が救ってくれました。
他にも私がこれまでよく受けた質問も掲載しています。
例えば、
では、デメリットはありませんか?
と聞かれたら、どう答えますか?
「信託はメリットばかりで、明確なデメリットはありません」
という回答では、相手は納得してくれません。落とし穴があるのではないか?
実は、信託には明確なデメリットがあります。
本書のP150に書いてあります。
「損益通算」ができなくなる点が明確なデメリットです。
自営業で、農業とアパート経営をしている人が、アパートを信託したケースです。
農家収入が200万円の赤字で、アパート経営が800万円の黒字の場合、アパートの黒字と農業の赤字を合算した600万円が所得になり、この金額を基に確定申告をします。
しかし、アパートを信託すると、所得の合算ができなくなるので、800万円の所得として確定申告をすることになります。
この部分は明確なデメリットです。
農家でアパート経営をしている人はたくさんいますので、ご注意ください。
まとめ
このように、本書は家族信託に興味がある一般の方だけでなく、家族信託をクライアントに提案したい専門家にも参考になるように書きました。
特に一般の人に対する、説明の仕方は参考になると思います。
本書の特徴をもう一度
・よくある相談事例を載せているので、似たような事例を受けたとき、提案の参考になる
・よく受ける質問のQ&Aを載せているので、クライアントから質問されても回答の参考になる
あなたも本書を参考にして家族信託を、クライアントに提案してみてください。
あなたの新しい業務分野を切り開く一助になることを願っています。
相続・事業承継・認知症対策のための いちばんわかりやすい家族信託のはなし
川嵜 一夫 (著), 蟹江 乾道(税務監修)
日本法令
コメント
家族信託について、わかりやすい小冊子を作って販売してくださいませんか。
氏家さん
コメントありがとうございます!
小冊子については、下の記事からもどんなものを作っているかが確認できます。
https://kawasakikazuo.com/2017/06/24/post-810/
その内、自社株信託の小冊子は無料で公開していますので、確認してみてください。
http://自社株信託.com/?p=375
また実際の冊子は、印刷代等の実費をご負担いただければ提供しております。
ものにもよりますが、1冊数百円です。
もしご希望があれば、サイト上部の「コンタクト」からご連絡ください。
でもいちばんいいのは、最近出版された私の書籍を購入いただく方が実際はいいかもしれません。
特に書籍の第5部の収益不動産について、信託の設定から終了までの流れを書いた部分は
法律論だけでなく、かなり実務的なところまで踏み込んで書いたつもりです。
これは私の小冊子には書いてありませんので。
コメントありがとうございました。
川嵜一夫