今回は、
「信託の基礎講座」
というテーマでお送りします。
信託について勉強したけど、
「なんとなく信託ってわからないよね」
って言う人が対象です。
何回かのシリーズでお送りする予定です。
そもそも信託とは
僕も司法書士受験のとき、信託、ほぼわかりませんでした。
受託者がいて、受益者がいて。
言葉が似ていて見分けがつかない(笑)
今までいろんな説明のし方をしてきました。
「私(委託者)の財産を君(受託者)に託す。だから●●(受益者)のことを頼む」
とか
財産の管理・処分権限と、財産権を分ける方法
とか
財産の管理・処分権限だけを渡す方法
とか
贈与税がかからない生前贈与みたいな方法
とか
管理者つきで財産を渡す方法(by 民事信託監督人協会 理事 柳橋司法書士)
とか
どれか、なるほどというものあります?
事例で例えると
お父さん(75歳)は、アパートのオーナー
自分で管理するのは、おっくうになってきた。
誰かに管理を任せたい。
でも、賃料は、自分の生活で必要だから、賃料は自分に欲しい
という場合。
娘さんがいて、その人に「信託」する場合。
「お父さん(委託者)のアパートを娘(受託者)に託すね。だから私(受益者)のことを頼むね」
お父さんは、託すことを委ねる人だから ⇒ 委託者
娘さんは、託すことを受ける人だから ⇒ 受託者
お父さんは、さらに、賃料という利益を受ける人だから ⇒ 受益者
こんな感じね。
お父さんは、信託前は
アパートオーナでもあり、もちろん賃料ももらっていた。
でも、管理処分の権限だけを娘さんに渡す。
だから、
・財産の管理・処分権限と、財産権を分ける方法
・財産の管理・処分権限だけを渡す方法
と言えますよね。
また、アパートの名義は、見た目、娘さんになる
でも、財産権(受益権)はお父さんに残したままなので、贈与税はかからない(相続税法9条の2 第1項)
だから、
見た目、生前贈与だけど、贈与税がかからない生前贈与とも言える。
この辺で、少しはわかります?
とにかく、
アパートを管理処分(賃貸借契約や、アパートの管理、売却など)をする権限と
アパートからの収益を受ける権利(賃料収入や、売却した代金)を分けて、別々にできる。
この管理処分権限と、収益を受ける権利を分けられるってところが
信託の最大のポイントと思います。
これって、これまでの契約ではムリでした
例えば売買や贈与。
父から娘に売買や贈与したらどうなるか?
名義が娘に移ります。
でも、賃料をもらう権利も同時に娘に移る。
所有権は、この管理する権限と、収益をもらえる権限を分けられないから。
では、管理を娘に委託(委任)したらどうか?
これは、管理は娘に移り、収益をもらえる権限は父に残る。
お!信託に似てる!
でも、名義は、お父さんのままですよね。
一番違うのは、売却など処分するとき。
特に登記の手続きで売主としてハンコを押す人は、お父さんのまま。
娘さんに委託したからといっても、登記をする司法書士は、絶対お父さんを本人確認します。
でも信託してると、名義が娘に移っているから、本人確認は娘をするだけ。
ここが違う。
こんな感じで、信託することの最大のポイントは、
管理処分の権限と、収益をもらえる権利が分けられるってこと。
それって、他の契約ではムリでした。
ここが理解できると、信託の理解が進むと思います。
ここがわかると、信託関係の税金も理解しやすいですよ。
もう少し詳しく学びたいと思ったら、一般の人向けの本を書いているので、手に取ってみてくださいね。
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