先日、ある研修会に参加しました。
「司法書士とDX(デジタルトランスフォーメーション)」
講師は静岡会の司法書士 久松秀之先生
司法書士業務をデジタル化し、変革していこうという趣旨です。
その研修の中で、私はある事実に大変驚きました。
それは、大学受験のセンター試験で新たに設けられた
「情報」
という科目の問題です。
皆さんにもぜひ、この問題が解けるかどうか試していただきたいです。
一問目の問題(普通、多分一番初歩的な問題が一問目に出るよね)
インターネットで情報をやり取りする際、発信者が本人であることを確認するためにデジタル署名が利用できる。
また、デジタル署名を用いると、その情報が●●を確認できる。
この●●に何が入るか、分かります?
答えは「改ざんされていないか」です。
2問目もすごいよ
近年,128 ビットで構成される IP アドレスが利用されるようになった理
由の一つとして最も適当なものを,次の1~5のうちから一つ選べ。
1.有線 LAN だけでなく無線 LAN にも対応するため。
2.大容量データの送受信に対応するため。
3.インターネットに直接接続する機器の増加に対応するため。
4.漢字など英数字以外の文字で表されるドメイン名に対応するため。
5.HTML の仕様変更に対応するため。
正解は3. 多分・・・(笑)
こうした知識問題だけでなく、
統計学、情報分析、プログラミング的思考を問う問題(例:「何通りの組み合わせがあるか」など)も出題されています。
さらに驚くべきことに、この「情報」という科目は、共通テストの全科目の中で最も平均点が高かったそうです。
また、別の問題では、
旅行者数のデータに関する散布図と相関係数から読み取れることを問うような、
データサイエンスや統計学の基礎知識を前提とするものも出題されています。
#問題見たけど訳わからなかった(汗)
今の高校生は、すでにこのレベルの学習を「情報」という教科として習っているのです。
試験問題はこちら
大学では「データサイエンス」が必修科目に
このことを、私の妻に話したんですね。
私の妻は大学の教員をしているのですが、この話を共有したところ、さらに驚くべき情報を得ました。
今の大学では、「データサイエンス」という授業が、英語や第二外国語と同じように、全学科で必須科目になっているというのです。
もうね、データサイエンスって、統計学とかプログラムとか駆使するのね。
そして売り上げ予測立てたり、訪問数の推移の予測を立てたりするもの。
私はすぐに妻の勤務先である新潟大学のシラバスを確認しましたが、
確かに全学部共通で「データサイエンス」が必修科目として存在していました。
やばっ!
時代に乗り遅れている。
つまりそういう人たちが、もうすぐ社会人になってくる。
この事実に危機感を覚え、私もすぐにオンライン学習サイトのUdemyでデータサイエンスの講座を申し込みました。(笑)
それから、
「情報 I」の教科書や参考書をAmazonでポチったり。
私自身、顧客管理・案件管理システム(法カルテ)を開発・運用していますが、
基礎的な情報科学の知識をしっかりと押さえられていなかったという反省もあったからです。
顧客管理・案件管理システムの説明ページはこちら
https://minjishintaku-kantokunin.org/2022/07/03/houkarute/
説明申し込みはこちらね
https://forms.gle/htdGptbpJLdoGfG88
迫りくるDXの波:電子署名による登記申請
この環境の変化は、司法書士業界にも直接影響します。
・少なくとも4年後には、データサイエンスや「情報」を学んだ世代が社会に出てきます。
・その中の一部は、司法書士試験を受け、やがて資格者となるでしょう。
5年後、10年後には、彼らのようなデジタルネイティブな感覚を持つ人たちが顧客や同業者、になります。
もちろん、事務所スタッフに応募してくることも。
#この事務所、紙ベース、遅れてる って思われ、すぐ辞められてしまうかも。
そうなると、今までの司法書士が中心としていた「紙ベース」の業務、
特に登記申請における委任状、登記原因証明情報、議事録などの取り扱いが、大きく変わることは確実そうですよね。
すでに少し進んだ企業では、取締役会を遠隔地から役員が参加できるようにZoomなどでの実施し、その後の議事録の署名を電子署名で完了させている事例が増えているそうです。
「先生、電子署名で完結した議事録をメールで送りますので、これで会社の登記をお願いします」
このような依頼が、特に東京や大阪といった大都市圏の商業登記を扱う事務所では、もはや日常的になりつつあるとのこと。
やばっ!
新潟で開業している私も、いつこの波が本格的に押し寄せてきてもおかしくないと感じました。
歴史が証明する「変化への対応」の重要性
司法書士が今のままでいたい!と思っても、
企業やお客さんが、やり方を変えてくる。
つまり、「外部環境の変化」です。
この「外部環境の変化」に対応しない組織や個人がどうなるか。
それは歴史が証明しています。
・江戸幕府: 外国船の来航という外部環境の変化に対応せず、体制維持に固執した結果、崩壊しました(明治維新)。
・室町幕府:戦国時代で強いトップが台頭するも、室町幕府内では強いトップが現れず、内部抗争を続け、機能消滅。
・鎌倉幕府:元寇後、武士が恩賞を求めるも、北条氏がすべてを独占し、足利尊氏という幹部社員が離反し、組織が瓦解。
・平家:源頼朝など武家社会の登場や、地方武士の不満を軽視し、平清盛死後は後継争いが激化し、滅亡。
海外では・・・
・フランス絶対王政(フランス革命): 啓蒙思想による人権意識の高まり(外部環境の変化)に対し、財政難や内部抗争、貴族の既得権益の維持にこだわった結果、王政は打倒されました。
・清王朝: 西欧列強の進出というグローバルな変化に対応が遅れ、国力を失いました。
・オスマン帝国:騎馬による軍隊は、世界を席巻しましたが、その後、銃火器の対応ができず、国力を失い崩壊。
・古代カルタゴ:貿易で大繁栄するも、ローマの台頭後も内部の権力抗争に明け暮れ、ローマに滅ぼされる。
挙げていったら、きりがないです。(笑)
企業では
・写真フィルムからデジタル化に対応しなかった「コダック」
・携帯シェア王者がスマホ台頭の対応に遅れた「ノキア」
・原発事業の失敗も、社内の声が上層に届かない体制で沈没した「東芝」
いずれも、変化を恐れて、古い成功パターンにしがみついた例です。
つまり外部環境の変化に対応しないと、
「足下からまるごと吹っ飛ぶ」
というのは、歴史が証明しています。
「今までのやり方を変えたくない」
「新しいことを学びたくない」
という態度を取ることは、外部環境の変化という時代の潮流に逆らうことになり、
やがては「吹っ飛ぶ」結果を招きかねません。
「司法書士はいらないのではないか」という議論すらあり得る未来です。
まとめ:デジタル化の波に乗るために
我々司法書士も、このデジタル化、DX化の波を単なる流行と捉えるのではなく、業務の根幹に関わる不可避な変化として受け入れ、対応していかなければなりません。
僕もまずは勉強しなきゃ。
今日の記事が、皆様にとって未来を見据える上での一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
じゃあね、またね。バイバイ。
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かわさきの悩みまで(笑)、幅広い内容でお送りしています。
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