今回は、AIと士業の業務、というテーマで書いてみたいと思います。
実は先日(2025年5月)、台湾に出張に行ってきました。
台湾にはTSMCという世界最大の半導体製造メーカーがあるのですが、そこで半導体やAIに関するフェアが開催されていたんですね。
今後のAIや半導体の動向がどうなっているのかを視察してきました。
今回は、そこで見た感想をお話ししたいと思います。
興味がない人は、今回の話しはハズレ回だと思います。(笑)
AIチップの進化とファジーな処理
まず、やはりすごいと感じたのはAIチップです。
これは今までのコンピューターチップとは異なり、特に注目されているのがアメリカのNVIDIA(エヌヴィディア)という会社のチップです。
NVIDIAはグラフィックボードを制御するGPUというチップを設計している(製造はTSMCとか)のですが、なぜこれが注目されているかというと、グラフィックボードは特に動きの激しいゲームなどで動きをスムーズにするために必要な処理を行うからです。
実はこの処理というのは、数学的に明確な答えがあるものよりも、ファジーなものを処理するのに非常に適しています。
昨今の生成AIは、私たちが言った言葉を理解し、ファジーな言葉で返してくれますよね。
明確な正解はないけれど、なんとなく素晴らしいことを返してくれる。
けっこうファジーなんですよね。
だからこそ、NVIDIAが作っているゲーム向けのGPUチップが、実は生成AIのチップに非常にマッチするんです。
それもあって、NVIDIAの株価は生成AIが注目されるようになってからすごく上がっています。
#買っておけば良かった・・・
AIはファジーな回答を出すのが得意ですよね。
手紙の案とか、研修会の組み立ての案とかすばらしいですよ。
AIによる士業の業務代替
少し驚いたのですが、デザイン関係の仕事をしている人が、最近AI(チャットGPTなど)を使って自分の新規事業の補助金申請をしたそうです。
事業計画や収支予想、自分の強みや弱みなどをチャットGPTで作成し、補助金申請をしたらしいんですね。
補助金が取れたかどうかは結果はまだでていませんが、そういった補助金申請などしたことのない人が、AIを使って文章を作成し、提出して受付してもらうところまでいけている、というのが事実としてあります。
これはつまり、少なくとも中小企業診断士の仕事が奪われているということが起きていますよね。
さらに、その同じ人なのですが、今度は自分がやろうとしているビジネスで、新しいブランドを立ち上げたので、それを商標登録したいと考えたそうです。
商標登録は弁理士の仕事ですよね。
法律的な知識が全くなかったそうですが、これもAIと相談しながら申請したら、商標登録まで取れたと言うんです。
AIを使えば、すでにここまでできるようになっているんですね。
これは、我々が認識しておくべき事実だと思います。
司法書士業務への影響
一方で、このメルマガを読んでいる方の多くは司法書士だと思いますので、司法書士業務が奪われるかというところについて私の考えです。
例えば、登記申請書が作れるようになるか、という点ですが、ある程度は作れるようになると思います。
当然ですよね。
しかし、登記申請書はファジーではなく、一語一句間違ってはいけないという厳密さがありますよね。
一語一句間違ってはいけない、となると、AIが得意なファジーな形ではなく、きっちり正解がある、というものなので、現状ではまだ登記申請書を作成するのは苦手な分野なのかもしれません。
それに、いきなりAIに個人情報を入力して「これで登記申請書を作って」というのは、私は今のところやっていません。守秘義務上、危険なのでやらないようにしています。
仮にそこの問題がクリアできたとしても、まだ少し苦手なのかな、と思います。
ちなみに、AIパソコンというものも出てきています。
これは多くの企業でニーズがあると思うんですよね。
例えば、企業秘密を扱う会社内のパソコンでは、企業秘密をAIを使って何らかのデータ処理をしようとすると、その企業秘密がAIのための中央データに取り込まれてしまう可能性があります。
これは企業としては非常にまずいですよね。
ですから自分のパソコン内、あるいは自分の管理下のLAN内だけで処理ができるようなAIは必ず必要になると思います。
そういったAIパソコンも、今回の台湾のTSMCのフェアでは出展されていました。
やはり、こういうのが必要になってくるんだなと感じましたね。
これが実現すれば、士業の業務で個人情報を入力することもできるのではないかと考えられます。
例えば、私が今一番やりたいのは、名寄せをスキャンして、その情報(物件の所在地や地番、評価額など)をExcelデータにしてくれたらどんなに楽だろう、と思っています。
もちろん、現状は、個人情報が絡むのでやっていません。
しかし、今後はAIパソコンが利用できるようになれば、
自分の範囲内だけでAIのデータセンターにデータが渡らない形で処理できるようになるので、個人情報でもAIを使って、データを整理・分析することもできるようになると思います。
今後はそういった形のAIの使い方も増えてくるのではないかと考えています。
とりとめもなく話しましたが、正確な登記申請書をAIが作れるようになるのは、もうちょっと先かな、というのが私の印象です。
しかし、今のAIの発展スピードはものすごく速いので、これがどのタイミングでもできるようになるんだろうな、というのが私の個人的な考えです。しかも、それは本当に近い将来、数年後という感じだと思います。
我々も急激に変化する時代に、対応していかなければいけないなって思いました。
今日はこれで以上です。最後までお読みいただきましてありがとうございました。
ではまた!
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