今、司法書士に合格したらどんな事務所に就職するか?
合格したらどうする?
私が司法書士に合格したのが平成17年(2005年)
この記事を書いているのが令和6年(2024年)
もう、19年も前になりますね。
私は、合格後、司法書士の若手の飲み会で知り合った先輩司法書士の事務所で修行させてもらいました。
当時は時代的に債務整理が多かったですが、
決済や、相続登記、裁判業務など様々な手続きを経験させていただきました。
司法書士としては、幅広い経験をさせてもらい、それは、今後、独立して自分で事務所をやっていく点では、自信になりました。
#どんな業務の依頼を受けてもなんとかできる
そんな経験から、将来独立を目指すなら
自分ならどんな事務所に就職するかをお話ししたいと思います。
どんな事務所で修行する?
やはりどこかの司法書士事務所で勤務を2年くらいはすると思います。
しかも順番に2箇所
1箇所は、総合的に様々な業務をしている事務所
もう1箇所は、決済を中心にやっている事務所ですね。
なぜか?
総合的な業務をやっている事務所では、様々案件の経験を積むため。
そうすると、どんな業務でもなんとかできる自信がつきます。
#僕もそうだった。今では、浅はかな自信だったけど。
また、訳のわからない依頼を受けても、調べ方とか、勘所もわかる。
それに、けっこう大事なのが、税金。
例えば、
・時効取得で不動産を取得すると、一時所得になるから所得税に注意とか、
・遺産分割協議のやり直しも税金が問題になるとか、
・もちろん、贈与をすれば、贈与税だけでなく、不動産取得税も問題になり、
場合によっては売却時の譲渡所得税も問題になるとか。
遺言で法人に不動産を遺贈すると、渡した相続人に税金がかかるとか・・・
分けわからないでしょ?
#ホントヤバいから、法人に不動産の遺贈は、税理士さんと絶対相談!
税金の詳しい計算方法を知る必要はありませんが、この手続きをすると、こんな税金がかかるよ、って言うのはメッチャ重要な問題。
その際は、必ず税理士さんと連携してあたる必要があります。
他にも案件によっては、弁護士、土地家屋調査士、行政書士などと
一緒にタッグを組むことがあります。
試験の知識では、「贈与」の登記は簡単ですからね。
たいてい親子の贈与だから、ハンコもすぐ押してくれるし、書類もすぐ集まる。
対立関係でない。
でも、次の年、税金で大変なことになる。
だから、我々司法書士は、贈与の依頼を受けるとメッチャ慎重になります。
価値が1000万円の土地を親から子に贈与すると、子に177万の贈与税が課税されます。(計算あってる?)
試験の知識だけだと、こんな初歩的なこともわからなかったりします。
周辺業務の知識を学ぶのはチョー重要。
なぜ決済事務所での勤務もすすめるか?
業務を効率的に進めるノウハウを学べるからです。
決済事務所って、不動産の売買の登記を多く扱っている事務所のこと。
特に月末になると、数十件の登記申請を1日でする場合もあります。
そうすると、その数十件の案件を同時に、正確に、間違いなく、決済までの時間に間に合うようにすすめる必要があります。
こんなノウハウ試験では全く問われませんでした。
飲食店で、お昼にご飯を食べにいくと、多くのお客さんが来て、ごった返していますよね。
チェーン店では、そんなに待たなくても、食事が出て来ることが多い。
でも、個人店で段取りが悪いお店だと、ずっと待たされることがありますよね。
この違い。
チェーン店では、多くの注文を効率的に間違いなくさばくノウハウがあるんですね。
これの司法書士版。
決済事務所では、多くの案件を、効率的に間違いなくすすめるノウハウがあります。
これは、自分ではなかなか考えられません。
であれば、既に確立している事務所でしばらく働いて、そのノウハウを学ぶのはメッチャすばらしいと思います。
案件管理は、どんな書類を使っているか
お客さんに、どのタイミングで連絡しているか
銀行や不動産業者とのやりとりの進め方とか。
それどころか、書類を事務所のどこに置いているかとか、
別のスタッフに案件を引き継がせるために、どんな方法を用いているかとか。
もう、ノウハウのかたまりです。
だから、決済事務所で1年くらい修行するのは自分のためになるかなと思います。
あと困るのは料金設定
けっこう困るんですよね。
この仕事をしたらいくらもらうか?
例えば、相続登記の依頼を受けたとします。
相続登記でも、
子どもがいる場合や、子どもがいなくてきょうだい相続の場合では、
かかる手間が全然変わります。
この違いをどのように、報酬に反映させるか?
子どもがいても、行方不明の人がいたら、「不在者財産管理人」の申立が必要なる。
この場合の申立費用をいくらにするかとか?
それに、抵当権の抹消だっていくらにするかは最初は悩むと思います。
それが、明治の抵当権の抹消だったら?
休眠担保ですよね。
いくらもらうか、悩みますよね。
そもそも、相談料をもらうかどうか?
うちの事務所は基本もらっています。
でも、相談料をもらっていない事務所が、司法書士では多数はかも。
相談料って、いまだに悩むんですよね。
こんな感じで、料金設定はけっこう悩む。
決めちゃえば、それに従えばいいんだけど、どう決めるかはけっこう難しい。
ですから、これは、先輩の司法書士事務所で、どんな設定にしているか知るのは、とても参考になると思います。
お客さんへの定型の説明資料も参考になる
相続登記の依頼を受けました、
・こんな書類が必要になります
・こんな流れになります
・登記識別情報とは?
というような、定型的な説明ってあるんですね。
その定型的な説明資料って、独立したとき、一から作っていくのはけっこうな手間。
そもそも、いきなり独立すると、どんな説明が必要かもわからないし。
先輩司法書士事務所で修行していれば、このような定型的な説明資料も学べますよね。
ですから、業務のやり方を学ぶだけでなく、このような業務に必要な周辺部分も学べます。
でも学ぶことを前面に押し出さないで
先輩司法書士はあなたが戦力になると思って受け入れてくれています。
つまり仕事をしてくれて、それに給料を払う。
「いろいろ学ばさせてください!」って元気よく言っても、人によっては、
「おめぇを学ばせるために給料払ってんじゃない」って思う人もいるかもしれません。
だから、まずは仕事する。
こっそりといろいろ学ぶ(笑)
こんなスタンスだといいかもしれませんね。
今回は、司法書士に合格した人向けに、
僕だったらどんな事務所に就職するかをお話ししました。
あ、僕が今30代で、合格したばかりだったら、
海外関係の案件をやっている事務所に就職するかも。
最初は英語とか大変かもしれないですが、今後のインバウンドの流れを考えると、海外関係の案件を得意にしておきたいですからね。
コメント